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なぜOHRAは認証制度を作るのか — 心理的安全性の観点から見た外国人材エコシステム


なぜOHRAは認証制度を作るのか — 心理的安全性の観点から見た外国人材エコシステム

私(沼澤・OHRA顧問)は、行政書士として 起業・創業支援、契約書作成、相続・後見、ビザ・在留資格申請 など、人生や事業の節目に関わる仕事を続けてきました。仕事の中で常に意識してきたのが、「依頼者の心理的安全性」 です。

OHRAが準備中の「認証・資格制度」は、この 心理的安全性 という観点から見たときに、外国人材エコシステムの重要なピースになると考えています。本稿では、起業支援・契約書実務の現場で見えてきた視点から、なぜOHRAが認証制度を作るのか、その意義を整理します。

この記事の要点

  • 「心理的安全性」は、対人だけでなく、契約構造や仕組みでも担保すべき
  • 外国人材本人にとって、就職先の選定基準は「給与」だけでは不十分
  • 受入企業にとっても、自社の本気度を客観的に示す手段が現状ない
  • OHRA認証制度は、この双方の心理的安全性を構造的に担保する仕組み

心理的安全性は「対話」だけで作るものではない

「心理的安全性」という言葉は、近年ビジネス界で広く使われるようになりました。多くの場合、対話のあり方・コミュニケーションの質を指す文脈で使われます。

しかし、起業支援・契約書実務の現場で見えてきたのは、**「対話の前に、構造で担保する必要がある」**ということです:

  • 契約書が不明瞭 → 当事者の信頼関係が揺らぐ
  • 権利義務の偏り → 弱い立場が泣き寝入り
  • 責任の所在が曖昧 → トラブル時に誰も責任を取らない

これらは「対話を増やせば解決」するものではありません。契約構造・組織の仕組み・第三者による客観的な評価が、心理的安全性を支える前提になります。

外国人材エコシステムの「心理的安全性ギャップ」

外国人材を取り巻くエコシステムには、現在、構造的な「心理的安全性ギャップ」があります。

外国人材本人の視点

インドネシアやベトナムから来日する外国人材本人にとって、就職先を選ぶ判断材料は現状、ほぼ「給与」だけです:

  • この会社は本当にインドネシア(自国)を理解しているのか?
  • 困った時に相談できる窓口はあるのか?
  • 宗教(イスラム教)への配慮はあるのか?
  • 失踪・離職した先輩はいないのか?

これらの情報は、現地の送り出し機関やブローカーから断片的に伝えられるだけで、客観的な指標がありません。結果として、給与だけで会社を選び、入社後にミスマッチが判明して 失踪・早期離職 につながるケースが頻発します。

受入企業の視点

一方の受入企業も、自社の取り組みを 客観的に示す手段がない という困りごとを抱えています:

  • 礼拝スペースを設けている
  • ハラル食を提供している
  • 母国語相談窓口を整備している
  • 定着率90%以上を維持している

こうした努力をしていても、「外国人材に伝わる信頼マーク」がないため、給与競争に巻き込まれてしまうのが現状です。

OHRA認証制度は、双方の心理的安全性を構造的に担保する

OHRAが準備中の 「企業認証制度(A/B/Cランク)」「個人資格制度(インドネシア理解+外国人雇用法)」 は、この心理的安全性ギャップに対する構造的回答です。

企業認証制度(A/B/Cランク)

外国人材本人にとっては:

  • 「この会社はOHRA認証Aランク = 安心して選べる」
  • 「Bランクなら標準、Cランクなら準備完了」と段階的に判断できる
  • 給与だけでなく、**「自分が大切にされる職場かどうか」**を選択基準に加えられる

受入企業にとっては:

  • 自社の取り組みを 客観的な認証マーク で訴求できる
  • 給与競争から 品質競争 にシフトできる
  • 認証取得プロセス自体が、社内体制の強化 につながる

個人資格制度

人事担当者・士業・登録支援機関スタッフにとっては:

  • インドネシア理解+外国人雇用法を体系的に習得できる
  • **「この担当者がいる会社なら安心」**という第三者評価につながる
  • キャリア形成の新しい資格軸として活用できる

詳細: OHRA認証・資格制度

なぜ「行政書士団体」が認証制度を担うのか

認証制度は、本来であれば政府機関や業界団体が担うべき機能かもしれません。しかし、現状そのような認証制度は存在しません。

OHRAは、行政書士団体だからこそ、この役割を担えると考えています:

  1. 法令遵守を構造的に担保する組織体:OHRAは行政書士のネットワーク
  2. 現地教育機関との直接連携:インドネシア側の信頼関係を活用
  3. 業界全体への影響力:他の行政書士団体・登録支援機関との連携可能
  4. 長期的な視点:個別案件の手数料ではなく、業界エコシステム全体の質向上を目的

心理的安全性の積み上げが、長期的な業界の成熟を作る

外国人材分野は、今後10年以上、構造的に成長する分野です。だからこそ、**短期的な人材調達だけでなく、「心理的安全性が積み上がる仕組み」**を、業界として作っておく必要があります。

OHRAの認証・資格制度は、その第一歩です。

まとめ

心理的安全性は、対話だけでなく、契約・組織・認証の構造で担保できます。OHRA認証制度は、外国人材本人と受入企業の双方の心理的安全性を、業界全体で構造的に支える仕組みとして設計されています。

私たちは、このビジョンに共感する企業・士業パートナーの方々の参加をお待ちしています。


著者: 沼澤(OHRA顧問・Shu行政書士事務所代表/登録番号24400522号)

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