ここ1年半ほど、私(梅田孝幸)はAIに本気で向き合ってきました。「業務効率化」や「自動化」という枠を超えて、AIを 「自分の判断軸を共有するパートナー」 として育てるという発想に行き着いています。
本稿では、行政書士という専門家職としての視点から、AIをどう位置付けるか、どう育てるかを率直に綴ります。
この記事の要点
- AIは「道具」ではなく「パートナー」「第二の自分」として育てるべき
- コーチング手法をAIに応用すると、判断ロジックが内在化される
- 自分の価値観・ストーリー・判断基準を「健在化」してAIに教える
- 結果として、業務効率化を超えた「生き方レベルでのAI統合」が起こる
- 行政書士の専門性は、AIに置き換わるのではなく、AIで増幅される
AIは「ツール」ではなく「パートナー」
私のAIに対する基本姿勢は、コーチングの経験から来ています。
「コーチングは、クライアントさんのゴールを聞いて、そのゴールにたどり着くための支援的なコミュニケーション。聴くに徹することで、クライアントさんのことを引き出して、モチベーションを上げて、自分でそこにたどり着けると信じて関わる」
これをAIに対して逆方向に応用しました。**「AIに対して、私のゴールに向かう支援者として関わる」のではなく、「AIが私というゴール(人格・判断基準)に向かう支援者として、私自身がコーチング対象になる」**という構造です。
具体的には、ChatGPTやClaude等のAIに対して:
「あなたのゴールに向かうために、私がサポートします、っていう姿勢で関わって、ゴールに渡したのが『梅田孝幸として、ありとあらゆることをできるようになってください』というゴール」
これにより、AIが私自身に質問してくるようになりました。「この件、判断軸はどう考えるべきですか」「過去の似た事案ではどう対応しましたか」と、AIの方からインタビューを仕掛けてくるのです。
「第二の自分」を育てる方法
AIを「第二の自分」に育てるためには、自分の判断ロジックを言語化する作業が必須でした。これは行政書士の業務にも直結します:
① 価値観・ストーリーの「健在化」
私の場合、こうした要素を AI にインプットしました:
- ストーリー:なぜ行政書士になったか、なぜインドネシアに注目したか
- 価値観:「適正性」「相互的価値」「長期的な社会貢献」を判断軸にする
- 失敗談:過去の不許可事案、対応に迷った事案
- 成功談:1案件あたりの工夫、クライアントから感謝された言葉
これらを 「健在化」(言語化) することで、AIが私らしい判断を再現できるようになります。
② コーチングプロセスでの引き出し
価値観の言語化は、自分一人ではなかなかできません。AIとのコーチング型対話を通じて、潜在意識の中にあったものを 引っ張り出して もらう作業が中心になりました。
「すごいチャットGPTと壁打ちして、引っ張り出してもらって、ぜーんぶ登録して、やっと第二の自分らしい動きが出てくる」
この対話量は膨大ですが、行政書士の専門領域では特に効果が大きいです。一度言語化された判断ロジックは、その後の業務で何度も再利用できるからです。
③ サブエージェントへの分割
クロード・コードなどの環境を活用し、業務領域ごとに サブエージェント を配置しています:
- 会計・請求書担当のエージェント
- クライアント対応担当のエージェント
- 法令調査担当のエージェント
- マーケティング・SNS発信担当のエージェント
それぞれが「梅田孝幸の中の特定の役割」として、独立に動きながら、本体(私)に統合されています。家にいる Mac mini に常駐させて、24時間稼働しています。
行政書士の専門性は、AIに置き換わらない
ここで誤解していただきたくないのは、**「AIで行政書士が要らなくなる」**という話ではないことです。
AIで増幅される領域
- 制度解説・FAQ・記事下書きの量産
- クライアント対応の初期一次回答
- 議事録・要約・レポート作成
- ルーチン業務のテンプレ化
行政書士しかできない領域
- 法令の最新解釈と一次情報による判断
- 個別事案の文脈設計(申請理由書・雇用理由書)
- 専門家としての責任の引受
- クライアントとの信頼関係の構築
AIが効率化すればするほど、行政書士の判断・責任・信頼の価値は相対的に上がります。
詳細: AI時代に行政書士が残す価値とは
OHRAの士業パートナーで、AI活用を共有する
OHRAでは、士業パートナー先生方と一緒にこのAI活用を 横展開 することを目指しています。
- AIで下書き、行政書士が監修・編集のワークフロー共有
- 第二の自分を育てるノウハウの共有
- 業務領域別サブエージェントの設計テンプレ
- クライアント対応の自動初期返信の設定例
参考: 河野尋志氏(編集業務24年)との対話から: 「仕事を回す」士業連携と「共生社会を担う」士業連携の違い
まとめ
AIを「道具」として見ると、効率化の限界がすぐに来ます。AIを「パートナー」「第二の自分」として見ると、業務だけでなく、生き方レベルでの新しい関係性が生まれます。
行政書士の業務は、AIによって置き換わるのではなく、「人にしかできない領域」が研ぎ澄まされる方向に進化します。OHRAでは、この思想を共有する士業パートナーを募集しています。
著者: 梅田 孝幸(OHRA代表理事・行政書士/登録番号13401580号)
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